
レンジフードと換気扇との違いとは?種類や選び方のポイントについて解説!
2025/07/04
2025/07/04
レンジフードとは、油煙やニオイをしっかり排出してキッチンを快適に保つ換気設備です。近年は、さまざまなデザインや機能をもつレンジフードが販売・開発されており、どれを選ぶのが適切か迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、レンジフードの特徴と種類、選び方のポイントについて解説します。
目次
レンジフードとは、キッチンに設置される換気装置のこと。調理中に発生する煙、油分、臭い、湿気などを吸い取り、屋外へ排出する役割を担います。ガスコンロやIHクッキングヒーターの上部に設置されるのが一般的です。
レンジフードは、内部に設置されたファンが調理時に発生する汚染物質を吸い込み、ダクトを通じて排出します。排気方式には、直接空気を外に出す「排気型」とフィルターなどを通して空気を浄化し室内に戻す「循環型(ダクトレス)」の2種類があります。
レンジフードと換気扇は、どちらも空気を入れ替えるための設備ですが、目的や構造、設置場所などにおいて明確な違いがあります。まず、レンジフードは主に調理機器の上に設置される専用の換気設備で、調理中に発生する油煙や臭いを効率的に吸い取ることに特化しています。
一方で、換気扇はより汎用的な換気装置を指します。トイレや浴室、洗面所、ときにはリビングなどにも設置され、湿気や臭気などを排出する役割を担います。
ここでは、「形状」「ファン」「設置方法」の3つにカテゴライズし、レンジフードの種類について徹底解説します。
その名のとおり、薄型でフラットな形状が特徴のレンジフードです。コンロ上部の限られたスペースを有効活用できることから、狭いキッチンや吊戸棚の下に取り付けるケースが多くみられます。外観はシンプルで圧迫感が少なくすっきりとした印象になるため、デザイン性を重視する方に人気です。
ただし、ブーツ型やスリム型と比較すると吸引力がやや劣る傾向にあります。そのため、コンロの火力が比較的弱めの家庭や、調理頻度がそこまで高くない方に適しています。
かつて主流だったスタンダードな形状のレンジフードで、上部が煙突のように立ち上がり、下部が大きく張り出したブーツのような形状が特徴。内部にファンとフィルターを備えているため、吸引力が比較的高く調理中に発生する油煙やニオイをキャッチする構造になっています。特に、炒め物・揚げ物など煙や油分が多く発生する調理をよく行うご家庭に適しています。ただし、構造上の問題で本体の高さや奥行きが出てしまうため、キッチン空間に圧迫感を与えることも。
スタイリッシュなデザインと高い機能性を兼ね備えたレンジフード。現代的なシステムキッチンやオープンキッチンとの相性が良く、インテリア性を重視する方にもおすすめ。このタイプは、見た目のスマートさだけでなく吸引力や機能性も優れているのが特徴です。整流板が標準装備されていることが多く、効率よく油煙を吸い込む仕組みが採用されています。
シロッコファンは、現在のシステムキッチンで主流となっているタイプのファンです。円筒状のケーシング内に羽根が多数取り付けられており、遠心力を利用して空気を外に押し出します。この構造によって、比較的低い風量でも安定した吸引力を発揮しやすくダクトを通して屋外に排気するシステムとの相性が非常に良いとされています。また、密閉性の高い住宅でも効率的に換気できることもあって、マンションや戸建てを問わず広く採用されています。
主にブーツ型レンジフードに多く採用されてきたファンです。レンジフード本体に内蔵された扇風機のような形状のファンが垂直に空気を吸い込み、側面の排気口から空気を押し出す仕組みになっています。比較的高い吸引力と、一定の静音性を両立している点が最大の特徴です。特に、高層住宅や気密性の高い建物など外部との風圧差が大きい場所でも安定した換気が可能。ただし、ファン本体が大きく掃除の手間がかかることや、省エネ・薄型化トレンドにはややそぐわない点から、近年では採用例が減少しつつあります。
壁に直接設置し、短い距離で屋外とつながる換気経路が確保できる戸建住宅などで広く普及してきたファン。最大の特徴は、製品価格が比較的安価でありながらも吸引力に優れている点です。特に、屋外との距離が近く風の流れを遮る障害物が少ない環境下では、高い換気性能を発揮します。また、構造がシンプルであるため、掃除やメンテナンスも比較的容易。一方で、壁に直接穴をあけて設置する必要があるため、マンションや気密性の高い住宅にはあまり適していません。
最も一般的な設置方法で、コンロや加熱機器のすぐ上にあるキッチンの壁面に直接取り付ける形式です。戸建て住宅・集合住宅問わず幅広い住まいに採用されています。壁に面してコンロが配置されている場合、このタイプが基本となり、設置や配管工事も比較的シンプルで済むのが大きなメリット。
調理機器の背面の壁に直接取り付ける設置方法です。横壁付けタイプと異なり、コンロの上ではなく背面に換気口や排気装置を設けるため、特殊なレイアウトや限られた空間でも対応できるのが特徴。主に、壁とコンロの位置関係やダクトの取り回しの都合で、上方に十分なスペースを確保できない場合や、天井が低い場所などに用いられることがあります。
主に対面式キッチンやアイランドキッチンで用いられる設置方法です。スタイリッシュなステンレス素材やシンプルなスクエア形状、ガラス素材を取り入れたものなど、インテリアに調和するデザイン性の高い製品が数多く揃っています。
ここでは、レンジフードを構成する主なパーツや部品について解説します。
吸い込み口を絞り込むように配置された大きな金属板で、空気の流れを整える役割を担います。整流板によって空気の速度が高まり、素早く効率よく油煙やニオイを吸い込むことが可能になります。
本体上部と天井との隙間を覆う化粧板のことで、見た目の美しさと油・ほこりの防止に役立ちます。天井高に応じて長さやデザインを調整でき、リフォーム時にも欠かせないパーツの1つです。
吸い込んだ空気や油煙、臭いなどを屋外へ排出するための配管部分を指します。レンジフード本体と外部の排気口をつなぐ役割をもち、換気性能を左右する非常に重要なパーツです。
調理スペースを照らすLED・蛍光灯・白熱電球などの照明のこと。手元の視認性とキッチンの雰囲気を大きく左右します。
油煙やホコリを捕集するための部品で、「金属」「ガラス繊維」「不織布」の3種類があります。
調理中に発生した煙や蒸気の中に含まれる油分を集める受け皿です。ファンやフィルターの下部、レンジフード本体の内部に設置されていることが多いです。着脱可能な構造になっているため、簡単に取り外して洗浄できます。
外部への排気口やダクト内に設置される逆流防止のための装置です。外からの冷気や風、虫、ホコリ、さらには雨水などが屋内に侵入するのを防ぐ役割を果たします。換気扇やレンジフードが作動時だけ開き、停止時には自動的に閉じる仕組みになっています。
レンジフードのなかでも、代表的な3つの機能「同時給排」「ノンフィルター」「自動洗浄」について解説します。
レンジフードの排気と同時に新鮮な外気を取り入れる機能です。これにより、室内の空気が適切に循環し換気効率が高まります。特に、ガスコンロの使用時に起こりやすい室内の負圧を防止し、燃焼不良や一酸化炭素中毒のリスクを軽減します。
フィルターを使わずに油分を効率的に分離・除去します。フィルター掃除の手間が省けるため、メンテナンスが簡単であることが大きな特徴。また、内部のファンやダクトの汚れを軽減し、長期的な性能維持に寄与します。
製品によっては、内部やファンに自動洗浄機能を搭載したレンジフードがあります。専用の洗浄液を用いてファンやダクト内の油汚れを自動的に分解・除去します。これにより、手入れにかかる負担が大幅に軽減され、清潔で高効率な換気性能がキープされます。
レンジフードを選ぶ際には、見た目や価格だけでなく、サイズや性能・機能などをみて総合的に判断することが大切です。
コンロの幅に合わせてレンジフードの幅を選んでください。コンロよりも狭いと十分に油煙を吸い込めず、広すぎると無駄が生じることがあります。一般的には、コンロの幅よりも10cmほど広いサイズが望ましいとされています。
レンジフードは、調理によって発生した油煙やホコリが内部に付着しやすく、定期的な掃除が必要不可欠です。近年は、整流板を採用して吸い込み口を平らにし、油の侵入を抑えることで外側の拭き掃除だけで済むように工夫されたものも増えています。
また、ワンタッチで簡単にフィルターが着脱できるタイプや、ノンフィルター型のレンジフードなら面倒なフィルター掃除が不要になるため、忙しい方や掃除が苦手な方におすすめ。加えて、自動洗浄機能を搭載したレンジフードも登場しています。ただし、自動洗浄機能が付いたモデルは価格が高い傾向にあるため、予算とのバランスを考慮する必要があります。
性能・パフォーマンスでチェックしたいポイントは、大きく「吸引力(風量)」「静音性」「省エネ性能」の3つが挙げられます。
まず、吸引力はレンジフードの性能を測るうえで最も基本的な指標です。一般的には最大風量(m³/h)で表されます。この数値が大きいほど、調理中に発生する油煙やニオイなどを素早く、効率よく屋外に排出できるということになります。
次に、静音性について。一般的にレンジフードの静音性はdB(デシベル)という単位で表され、数値が小さいほど静かです。最近は、強運転時でも40~50dB程度、弱運転時なら30dB台という静音設計のモデルも販売されています。夜間の使用が多いご家庭や子どもがいる方は、静音設計の製品がおすすめです。
最後の省エネ性能については、ランニングコストを抑え、環境負荷を軽減するうえで非常に重要なポイントです。近年では、インバーターモーターやLED照明を搭載したモデルも一般的になっています。
レンジフードの寿命は一般的に約10年から15年とされています。ただし、これはあくまで目安であり、使用頻度やメンテナンスの状況、設置環境によって大きく異なります。日々の掃除やフィルター交換を怠ると、ファンやモーターに油汚れが蓄積して故障や性能低下の原因となるため注意してください。
また、古くなるとモーター音が大きくなったり、吸引力が弱まったりする事象が増えます。こうした兆候が見受けられたら、交換や修理を検討することをおすすめします。
毎日の調理を快適に、そして住まい全体を清潔に保つために欠かせないレンジフード。デザインや機能、性能の違いをしっかり理解したうえで、自分のキッチンに合ったレンジフードを選ぶことが大切です。ぜひ今回ご紹介した内容を参考にしてみてください。
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2023/08/31
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