「和式トイレが使いにくい」「簡単に座って使えるようにしたい」
そんな方におすすめなのが、和式トイレに被せるタイプの便座(スワレット)です。

被せるタイプの便座を選ぶことで、高齢の方や妊娠中の方でも、安全に和式トイレを使用できるようになります。
この記事では、和式トイレに被せる便座の種類や選び方、メリット・デメリットをわかりやすく紹介します。
今ある和式トイレをもっと快適に使いたい方は、ぜひ参考にしてください。

「和式トイレに被せる便座」とは

「和式トイレに被せる便座」とは、簡易洋式便座と呼ばれることもあり、和式便器に取り付けて洋式のように座ってトイレを使えるようにするための、便座のことです。

大掛かりなリフォームをせずに、既存の和式トイレを洋式トイレのように使えるようにできるため、コストを抑えて洋式トイレに変更したい場合や、簡単にトイレ環境を整えたい場合などに、選ばれています。

和式トイレに便座を被せた方がいいのはどんな人?

和式トイレに便座を被せたほうがいいケースは、主に以下にあてはまる場合です。

  • ・高齢者や妊娠中の方など、足腰に負担がかかりやすい人
  • ・公共施設や事務所などで利用者の年齢層が幅広い場所
  • ・費用を抑えて洋式トイレを実現したい人

これらに該当する場合は、和式トイレを使用し続けることで、何らかのトラブルが生じる可能性があります。

被せる便座を使用し簡易的な洋式便座をつくることで、用を足す際の安全面が向上し、暮らしの安心度がアップします。

和式トイレ用の便座にはどんな種類がある?

和式トイレに被せる便座には、いろいろなタイプがあります。それぞれ工事の有無や特徴、価格帯も異なるため、用途に合わせて選ぶことが大切です。

便座の種類工事の有無特徴価格帯の目安
置くだけタイプ工事不要最も手軽だがやや不安定数千円〜
固定タイプ簡易施工ありズレにくい・しっかりしたつくり数万円〜
温水洗浄機能付き電源工事必要快適性は高いがコスト・手間増3万〜10万円程度

蛇口・水栓

和式トイレに被せる便座を選ぶ際のポイント

和式トイレに被せる便座を選ぶときは、使いやすさや設置後のメンテナンスを考えて、いくつかのポイントをチェックしておくことが大切です。

ここでは、特に意識しておきたい選び方のコツを紹介します。

段差の有無

和式トイレは、床より少し高くなった場所に便器が設置されているタイプもあります。その場合、「おまる」のように高さのないタイプの便座を使用します。

逆に段差がないフラットなタイプの和式トイレの場合は、洋式便座そのものの形状をしたタイプの便座を設置します。

既存の和式トイレの形状に合わせて、適切な便座を選択してください。

現状の和式便座のサイズに合った物を選ぶ

和式便器は、トイレごとにサイズや形状に微妙な違いがあります。合わない便座を無理に使うと、座ったときに不安定になったり、使用感が悪くなったりすることもあるため、注意が必要です。

購入前に和式トイレのサイズを計測し、購入予定の便座の対応サイズと合うことを確認した上で、設置してください。

掃除のしやすい素材を選ぶ

便座を設置した後の掃除のしやすさも、大きなポイントです。掃除のしやすい素材を選ぶことで、設置後のメンテナンスの負担を減らすことができます。

陶器製の便座であれば、汚れがつきにくく拭き取り掃除もしやすいと言えます。陶器製の和式トイレ用便座はそれほど種類が多くなく、プラスチック製よりも高価ですが、予算に余裕がある場合は優先的に選ぶのもひとつの手です。

和式トイレに被せる便座のメリット

和式トイレに便座を被せることで、さまざまなメリットを得ることができます。ここでは、その内容を紹介します。

足腰の負担を減らせる

和式トイレは、しゃがむ動作が必要なため、足腰に大きな負担がかかります。高齢者や妊娠中の方にとっては、転倒のリスクが生じることに、大きな不安を感じるかもしれません。

便座を設置することで、洋式トイレと同じように座って用を足せるようになります。また、立ち上がる動作もぐっと楽になるため、ケガの心配もなくせます。

特に高齢の方が使用する場合は、滑り止めマットを便座下に敷く、手すりを設置するなどの工夫もあわせて行うと、より安全性が高まります。

費用負担を抑えられる

和式トイレをまるごと洋式トイレにリフォームするとなると、費用がかかります。

しかし和式トイレに便座を被せるだけなら、数千円で済むことも多く、手軽に洋式トイレを実現できます。

ニオイを抑えられる

和式トイレに被せる便座には、蓋付きタイプもあります。蓋を閉めることで、使用後のにおいが広がるのを防ぐ効果が期待できます。

特に共有スペースや来客がある家庭では、和式トイレのにおい対策がしやすくなるのは嬉しいポイントです。

和式トイレに被せる便座のデメリット

和式トイレに便座を被せると便利な面も多いですが、注意しておきたいデメリットもあります。導入を検討する前に、デメリットの内容もしっかり把握しておくことが大切です。

こまめな手入れが必要

便座を被せた和式トイレは、洋式トイレのような使い方ができます。しかし水が流れる部分は、「和式便座の部分のみ」です。

洋式便座部分についた汚れは水で自動で流すことはできないため、汚れがついた場合は手洗いが必要になります。

通常のトイレ以上にこまめな掃除を求められる点は、人によってはデメリットと感じるかもしれません。

通常の洋式便座と比べると不安定

置くだけタイプの簡易便座は、通常の洋式便座と比べると固定力がありません。勢いよく座ったり、体重をかけて立ち上がったりすると、便座がずれてしまうこともあります。

しっかり固定できるタイプを選ぶか、使用時には座り方に注意するなどの工夫が求められます。

便座とは別に工事が必要になる場合もある

和式トイレは、もともと便器にまたがる形で使う設計になっているため、トイレットペーパーの位置もそれに合わせて設置されていることがほとんどです。便座を被せて洋式スタイルにしたことで、トイレットペーパーが背中側に来てしまい、ペーパーホルダーの位置を変更する工事が必要になるケースもあります。

また、ウォシュレットを付けたい場合は電源コンセントの増設工事が必要になるなど、被せる便座に伴う想定外の工事が発生するケースは、少なくありません。

給湯器

和式トイレに被せる便座の設置で活用できる補助金制度

和式トイレに便座を被せる場合、介護保険を活用して費用の一部を補助してもらえることがあります。

ただし介護保険の利用には以下の条件があります。

  • ・介護保険の被保険者であること
  • ・要介護認定調査を受け、要支援1~2または要介護1~5と認定されていること

これらの条件にあてはまっても、設置状況によっては介護保険が適用されない可能性もあります。利用を検討する場合は、事前に市区町村の介護保険窓口やケアマネジャーに相談してみてください。

なお、置くだけタイプなどの簡易便座は、住宅改修とみなされず補助対象外となることもあります。補助金の対象となるかどうかは、事前に必ず自治体にご確認ください。

厚生労働省|介護保険制度の概要

まとめ|和式トイレに被せる便座を活用しトイレの負担を軽減しよう

和式トイレに被せる便座を利用することで、足腰への負担を軽減し、快適なトイレ環境を整えることができます。

簡単に設置できるタイプから、しっかり固定できるタイプ、さらに温水洗浄機能が付いた高機能タイプまで、選択肢も豊富に揃っているため、自分や家族に合った物を選んでみてください。また設置の際は、便器との相性や使い勝手、手入れのしやすさなどもよく考えることも大切です。

ぜひ本記事を最適な選択肢を選ぶヒントとして活用してみてください。

浴室乾燥機