エコキュートへの交換・買い替えを検討しているものの、「おすすめしない」「導入して後悔した」というネガティブな声を聞き、不安になっている方も少なくないのでは?
エコキュートは省エネや電気代の節約が期待できる人気の給湯器ですが、ご家庭のライフスタイルによっては、他の給湯器のほうが適している場合もあります。

今回は、エコキュートを選んで後悔しないために、エコキュートのメリット・デメリットと選び方のコツについて解説します。

エコキュート

エコキュートとは何か?

エコキュートとは、空気中の熱を利用して効率的に湯沸かしができる貯湯式の高効率給湯器です。湯沸かしは基本的に夜間に行います。そのため、電気だけで沸かす場合と比べて消費電力が約3分の1にまで抑えられます。また、一般財団法人ヒートポンプ・蓄熱センターが行った調査によれば、エコキュート累計出荷台数は2023年に900万台を突破したと公表されています。

エコキュートをおすすめしないと言われる理由

エコキュート おすすめ しない

エコキュートにはいくつかデメリットもあり、それらが気になる方にはあまりおすすめできないことも。エコキュートをおすすめしない理由として、考えられる点をいくつかご紹介します。

湯切れの可能性がある

エコキュートは、電気代の安い夜間にお湯を沸かして貯湯タンクに貯め、日中に使用します。そのため、日中に多量のお湯を使うと、貯湯タンク内のお湯が尽きて湯切れを起こす可能性があります。

貯湯タンクのお湯の量が少なくなっても、自動的にエコキュートが日中にお湯を沸かすことはありません。急に大量のお湯が欲しいときには、手動で沸き増し運転を行う必要があります。

設置スペースが必要になる

エコキュートのデメリットの1つに、設置スペースを確保しなければならない点が挙げられます。ヒートポンプユニットと貯湯タンクの2つを並べて設置する必要があるため、ある程度のスペースが求められます。

ちなみに、ヒートポンプユニットと貯湯タンクの設置においては建物の壁から10~30cmほど離し、かつヒートポンプユニットと貯湯タンクの間は30~60cmほどにするのが目安とされています。

水圧が弱い

エコキュートは貯湯タンクからお湯を供給するため、構造上、お湯の水圧が弱くなる傾向にあります。よって、ガスや電気給湯器を長く使っている方がエコキュートを導入すると、以前よりも水圧が弱くなったと感じることが多いようです。

初期費用が高い

メーカーや機種によって異なりますが、電気給湯器やガス給湯器と比べるとエコキュートは初期費用がやや高めです。エコキュートの価格相場は、本体代金と工事費を含めて40~60万円ほどかかることが多いです。

稼働音が気になる場合もある

エコキュートは、稼働時に少なからず音が発生します。特に10年以上前の古いエコキュートを使用していると、洗濯機や掃除機、車のアイドリングと同等の約50dB~60dB(デシベル)の稼働音が発生することがあります。

比較的新しいエコキュートであれば、稼働音は40dBほどに下がっています。しかし、エコキュートの設置場所や住宅の環境によっては、騒音トラブルに発展するリスクもゼロではありません。くれぐれもエコキュートの設置場所には十分注意してください。

それでもエコキュートが選ばれるのはなぜか?

エコキュート 選ばれる 理由

ここまで、エコキュートをおすすめしない理由でよく上位にランクインするポイントを解説しました。こうしたデメリットがある中でも、多くの人に選ばれているのはなぜでしょうか。
ここではエコキュートのメリットをいくつか紹介します。

光熱費の節約につながる

エコキュートの大きなメリットの1つは、光熱費の節約につながること。空気中の熱を利用するヒートポンプ技術が使われているため、通常の給湯器より少ない電力でお湯を沸かすことができ、電気代の節約が期待できます。

地球環境にやさしい

一般的な給湯器はガスや石油などを燃焼させてお湯を沸かすため、どうしても二酸化炭素が排出されてしまいます。その点、エコキュートは空気中の熱を使用するので、排出する二酸化炭素の量を大幅に抑えて湯沸かしができます。さらにオゾン層を破壊する可能性が指摘されているフロンも使われていません。

断水時・停電時に使える

エコキュートの貯湯タンク内にお湯が残っていれば、断水や停電などの非常時でも生活用水として水やお湯を使えます。ただし、貯湯タンクに長期間置いてあった水は飲用に適していないため、沸騰させてから飲むようにしてください。

補助金を活用できる

他の給湯器と比較すると初期費用がやや高くなる傾向にありますが、国や地方自治体が実施している補助金をうまく活用することで費用を抑えることができます。なお、補助金を受給するには条件があり、申請期間中でも予算上限に達すれば申し込みが締め切られることがあります。必ず最新情報を確認してから申請するようにしてください。

エコキュートの後悔しない選び方

エコキュート 後悔 しない 選び方

エコキュート選びで後悔しないためにも、以下の5つのポイントを踏まえて導入を検討することが大切です。

適切な容量

エコキュートの貯湯タンクの容量は、家族の人数やお湯の使用量に応じて適切なサイズを選ぶ必要があります。タンクの容量が小さければ貯めることができる湯量も少なくなります。(※下表はあくまでも目安です)

同居人数2~3人4~5人6~7人
容量目安370L460L550L

価格だけを優先して小さな容量のエコキュートを選ぶと、湯切れが頻発して昼間に沸き上げをしなければならず、結果的に電気代も上がってしまいます。
浴槽にお湯をためる頻度や食器洗いの頻度、お子様の人数など、状況によって適切な容量は変わります。ご自身のお湯の使用状況に合った容量を選ぶことが大切です。

機能・種類

エコキュートの主なタイプは、以下の4種類です。

・給湯専用タイプ
・セミオートタイプ
・フルオートタイプ
・多機能タイプ

「フルオートタイプ」なら、お湯はりから保温、たし湯まですべて自動で行います。「給湯専用タイプ」は、手動で蛇口からお湯はりを行います。保温やたし湯などの機能はありませんが、最低限の機能だけあれば良いという方であれば「給湯専用タイプ」のエコキュートでも十分です。

タンクの形状

貯湯タンクの形状の種類は、標準的なスペースに設置する「角型タイプ」と、狭いスペースに設置できる「薄型タイプ」の2つがあります。なお、薄型タイプは角型タイプと比べると、保温効率がやや劣り、また機能面でも制約があります。

寒冷地・塩害地対応

外気温が-10度以下になる寒冷地では通常のエコキュートは使用できません。寒冷地仕様のエコキュートなら、外気温が-20度まで下がる地域でも使用可能です。

海浜地域に住んでいる方には、耐塩害仕様・耐重塩害仕様のエコキュートがおすすめ。海から少し距離があり、潮風が直接当たらないご家庭であれば「耐塩害仕様」を、潮風が直接当たるご家庭なら「耐重塩害仕様」が適しています。

水圧

エコキュートは貯湯式であるがゆえに、どうしても水圧が弱くなります。生活に不便を感じるほどの弱さではないものの、強めのシャワーがお好みの方や、2~3階に浴室があるご家庭などは高圧タイプがおすすめです。

まとめ

せっかく、新しいエコキュートを設置するのなら後悔はしたくないもの。本記事で紹介したエコキュートのメリット・デメリットをぜひ参考にして、導入の検討をしてみてください。

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