今や生活必需品となっているエアコンは、年間を通して使用頻度が高い家電製品ですが、一度購入したらどのくらいまで使い続けられるのか、買い替えの時期に悩む方も多いかと思われます。
本記事では、エアコンの寿命や買い替え時期の目安について解説します。

エアコン(クーラー)の寿命・耐用年数はどのくらい?

エアコン 交換時期

家庭用エアコンの寿命・耐用年数は10年が目安とされています。この根拠は大きく2つあります。

1つが、設計上の標準使用期間(経済耐用年数)です。これは、標準的な使用条件において利用した場合に支障なく使用できる期間のことを指します。国内の主要メーカーの多くは標準使用期間(経済耐用年数)を10年と定めています。

なお、標準使用期間(経済耐用年数)はエアコンだけでなく、炊飯器、コーヒーメーカー、乾燥機、ヘアドライヤー、充電器など、幅広い耐久消費財や電化製品で適用されています。

もう1つが、補修部品の最低保有期間です。全国家庭電気製品公正取引協議会によって、エアコンの部品は、製造打ち切り後9年以上と定められています。メーカーによって異なりますが、概ね10年前後で保有期間を終了しています。

実際にエアコンの保証期間もメーカーによって異なりますが、この10年に収まっているケースが多いです。一般的には本体(室内機・室外機)で1年間、冷媒回路やコンプレッサーなどの主要部品については、3年~5年の長期保証が設定されていることがあります。さらに、販売業者や設置業者が提供する独自の延長保証サービスを利用することで、延長することが可能です。

内閣府経済社会総合研究所(ESRI)が発表した調査によれば、令和2年(2020年)4月から令和3年(2021年)3月の間にエアコンを買い替えた2人以上の世帯では、エアコンの平均使用年数は13.2年でした。

さらに買い替えの理由として、上位モデルへの買い替えや引越しなどの理由もありましたが、「エアコンの故障」が最も多く、65%を占めていました。

参照:消費動向調査 令和3(2021)年3月実施分/内閣府経済社会総合研究所 景気統計部 

エアコン(クーラー)の故障の前兆を示すサイン5つ

エアコン 寿命

では、実際にエアコンにどのような症状が現れ始めると、買い替えを検討したほうが良いのでしょうか?ここでは、エアコンの故障の前兆を示すサインを5つご紹介します。

冷暖房機能の効き目が悪い

わかりやすいサインは、冷房・暖房(または除湿)の効き目や性能が悪くなることです。

どれだけ設定温度や風量を変えても、部屋が暖まる・冷える気配がない場合は、エアコンのフィルターにホコリや汚れが詰まり、風の通りが悪くなっていることも考えられます。

ちなみにエアコンを稼働すると、エアコン内部を冷媒ガス(フロンガス)が循環して温風や冷風を送風します。しかし、エアコンが老朽化してくると、この冷媒ガスが漏れることがあり、その結果、冷暖房の効き目が悪くなるパターンもあります。

異臭が発生する

エアコンから異臭がする場合、フィルターの奥にカビが発生している可能性が高いです。エアコン内部は結露が発生しやすく湿度が高いため、カビが繁殖しやすい条件が揃っています。

カビの他にも、魚やお肉を焼いたことによって染みついた油や、タバコの煙などが原因で、異臭が発生している場合もあります。

異音がする

エアコンを稼働したときに、異音がする場合は注意が必要です。ブゥーンという大きな音や明らかな異音がするのであれば、室外機のコンプレッサー(圧縮機)や室内機の送風ファンの故障などが考えられます。

電源が入らない

電源を入れてもエアコンが稼働しなければ、エアコン本体、もしくはリモコンの不具合による原因が考えられます。まずエアコンのコンセントがしっかり刺さっているか、リモコンの電池が切れていないか確認してください。
リモコンが作動するにもかかわらず、エアコン本体が反応しないときは、リモコンではなくエアコン本体に問題がある可能性が高いです。

水漏れが起こる

エアコンからポタポタと水が落ちてくるときは、エアコンの水を外に排出するドレンホース(排水ホース)が詰まっている、または折れ曲がっていることが原因として挙げられます。

そのほか熱交換器に汚れが溜まる、エアコン内部のフィルターがホコリで目詰まりしているといった場合も、水漏れの原因になります。

エアコン(クーラー)の買い替えや交換を検討する前に!押さえておきたい5つの判断基準

エアコン 買い替え

エアコンの不具合や不調は、必ずしも寿命だけではなく、エアコン本体やリモコンの設定ミスや不十分なメンテナンスによって起こっている場合もあります。「調子が悪いからエアコンを買い替えようかな」と考える前に、下記のポイントを確認してみてください。

霜取り運転中になっていないか?

霜取り運転とは、エアコンで暖房を稼働中に室外機に付いた霜を溶かしながら運転する動作のことを指します。室外機に霜が多く付いていると、暖房効果が弱くなってしまうため、大半のエアコンでこの機能が搭載されています。このとき、室内機から水が吹き出るような音がしますが、故障ではありません。

リモコンの電池が切れていないか?

リモコンの電池切れで、エアコンが稼働しないこともあります。特に、リモコンの液晶表示が薄くなっていたら、リモコンの電池が切れている証拠です。

リモコンのボタンを押してもエアコンが反応しない場合、まずはリモコンの電池を新しいものに交換してください。電池のプラスマイナスの向きが正しく入っているかも要確認です。それでもリモコンが作動しなければ、リモコンのセンサーが壊れているかもしれません。

スマートフォンのカメラを起動し、カメラに向けてリモコンのボタンを押してみます。もし、正しくセンサーが作動していたら、スマートフォンに映るリモコンの送信部が赤っぽく光ります。光が映らなければ、リモコンのセンサーが故障している可能性が高いです。

エアコンの電源は入っているか?

そもそも、エアコン本体の電源が入っていないために作動しないパターンもあります。長らくエアコンを使わないときはコンセントを抜いておく方も多く、久々に使うときにコンセントを入れ忘れていることも。久しぶりにエアコンを立ち上げる際は、しっかり奥までコンセントが刺さっているか確認することをおすすめします。

室外機の排気口が塞がっていないか?

エアコンを稼働しているのに冷房・暖房の効きが弱い場合は、室外機の排気口が塞がっていないか確認してください。

室外機には、部屋から取り込んだ空気を外に排出する排気口があります。排気口のそばにゴミ袋やバケツ、掃除用具、ダンボール箱などが置いてあると、室外機から空気が放出されなかったり、放出された空気を再び吸い込んでしまったりすることがあります。

このように放出された空気が排気口に戻ってしまう現象を「ショートサーキット」とよび、ショートサーキットによって冷暖房の効き目が弱まることがあります。

室外機の排気口付近は、最低でも30cmの空間を作ることが推奨されています。特に寒冷地では、大雪が積もることで排気口が塞がれてしまうケースも多いので注意が必要です。

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エアコン(クーラー)の寿命を伸ばす使い方

エアコン 寿命 伸ばす方法

エアコンは決して安い金額ではないため、なるべく長く使い続けたいもの。ここでは、エアコンの寿命を伸ばす使い方をご紹介します。

こまめに掃除する

まず、普段からエアコンを定期的に掃除してきれいに保つことです。特に、エアコン内部や室外機は普段の生活で点検することも少なく、汚れに気付きにくいです。掃除機でフィルターのホコリを取ったり、室外機周辺をきれいにしたりしておくことで、エアコンにかかる負荷が減って長持ちしやすくなります。

適切な温度設定にする

適切な温度設定も重要です。室温に対して極端な温度設定にすると、エアコン本体に負荷がかかり、エアコンの寿命を縮めることになりかねません。

環境省が推奨する室温は、夏季で28度、冬季は20度です。これはあくまでもエアコンが稼働中の室温の目安で、エアコンの設定温度ではありません。
これを目安に、室温と設定温度が極端に乖離しないように心掛けるだけでも、エアコンは長持ちします。

使用しない期間はカバーをかける

春や秋など、あまりエアコンを稼働させない時期はエアコンにホコリが溜まりやすくなります。エアコンの外側やフィルターに溜まったホコリは冷暖房の効きを悪くさせ、エアコンに負担がかかります。長期間使用しないときは、エアコンに布などカバーをかけて、ホコリが付着しないようにするのがおすすめです。

室外機を適切な場所に配置する

室外機を置く場所にも注意が必要です。室外機に直射日光が当たりすぎると熱が放出されにくくなります。室外機の上に日差し避けカバーを置いたり、日陰に置いたりするのがベターです。

また先に述べたように、室外機の排気口が塞がっていると、冷暖房の効き目が悪くなります。排気口の前は30cm以上空けます。室外機の背面も、壁や建物から10cm以上を目安に離すようにしてください。

エアコン(クーラー)の買い替え時期・交換時期はいつがベスト?

エアコン 買い替え時期 目安

いざエアコンを買い替える場合、どの時期がベストなのか迷うかもしれません。できれば費用を抑えて購入したい一方で、タイミングを逃すとあっという間にエアコンが必要な季節になることも。最後に、エアコンのおすすめの買い替え時期を解説します。

エアコンの買い替え時期の目安は3月か9月頃

使用を始める夏シーズン前からエアコンの購入数が増え始め、値段が高めに設定される傾向があります。そのため、需要のピークを過ぎた8〜10月を狙うのがおすすめです。

上位モデルや最新機種でなくても十分という方は、2〜3月もおすすめです。2〜3月はエアコンのモデルチェンジ期で、特に低~中グレードの型落ちモデル・旧モデルが安く買えるようになります。

最低保有期間が10年経過したものは買い替えを検討

前述のとおり、国内のメーカーはエアコンの最低保有期間を製造打ち切り後10年間に設定していることが多いです。補修部品の在庫がないため、万が一壊れると修理対応ができなくなる恐れがあります。保有期間が過ぎたエアコンは、新たに買い替えを検討しても良いかもしれません。

かかる電気代で決める

古いエアコンはどうしても消費電力が大きくなり、電気料金が上がりやすくなります。近年では、省エネ機種のエアコンが販売されており、思い切って新しいエアコンに買い替えたほうが結果的に節電できるかもしれません。

新しいエアコンと現在使用中のエアコンを比較してみて電気料金が下がる・節約できるのであれば、新しいエアコンに買い替えるのが得策です。

エアコンの買い替えで、最新機種を選ぶメリット

エアコンの買い替えでは、特段の理由がない限りは最新機種を選ぶことをおすすめします。メリットとしては、大きく以下の3つが挙げられます。

静音・快適性の向上

テクノロジーの進化によって、現在のエアコンは過去のモデルと比べても運転音が非常に静かで、温度・湿度のコントロール性能も格段に向上しています。近年は、室内機の運転音は20dB前後と図書館の室内や木の葉のこすれる音と同等のレベルにまで低減されたモデルも存在しており、就寝時や赤ちゃんのいる家庭でも安心して使えます。

最新の機能が使える

従来の「冷やす」「暖める」といった基本的な性能に加えて、快適性、清潔性、省エネ性、操作性を向上させる機能が搭載されているモデルも多く登場しています。まず代表的なのがスマート機能です。Wi-Fi機能を搭載したエアコンでは、スマートフォンの専用アプリからエアコンの遠隔操作が可能に。例えば、外出先から帰宅前にエアコンを起動して室温を快適にしたり、外出中に消し忘れに気づいたらアプリで停止したりすることもできます。

電気代を節約できる

近年のエアコンは、エネルギー効率を大きく向上させる技術が進んでおり、10年前やそれ以前のモデルと比較すると、電力消費量が大幅に削減されています。

その理由の一つは、インバーター制御技術の高度化です。近年の機種では必要な冷暖房能力を細かく制御できるため、効率的に運転を続けられ、無駄な電力消費を抑えられるようになっています。

また、センサーとAIによる運転も省電力に貢献しています。人の在室状況や活動量、日射の強さ、湿度などを検知し、それに応じて自動で最適な出力に調整されます。そのため、必要以上に冷やしすぎる、暖めすぎることがなくなり、結果として電気代の節約につながります。

まとめ

エアコンは安い買い物ではないため、買い替えや交換をためらう方も多いかもしれません。しかし、今お使いのエアコンの状態によっては、思い切って交換する方がお得になることもあります。ぜひ本日の記事を参考にしてみてください。

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