「エアコンの送風って、どれくらい電気代がかかるんだろう」
「冷房や暖房よりは安いはずだけど、具体的な電気代を知りたい」

エアコンの送風機能を上手に使うことで、冷暖房に頼らずとも快適に過ごすことができます。
この記事では、送風運転にかかる電気代の目安や他の機能との違い、送風を効果的に使うコツや注意点までわかりやすくまとめました。

エアコンの送風機能をもっと上手に使いたい方は、ぜひ参考にしてください。

エアコンの送風機能とは?除湿機能との違い

エアコンの送風機能は、室内の空気を吸い込み、そのまま室内に送り出す仕組みになっています。外の空気を取り込んだり、室外に空気を排出したりはせず、シンプルに部屋の空気をかき混ぜるイメージです。

一方で、除湿機能は空気中の水分を取り除くために、一度空気を冷やして水分を凝縮させ、その水分を外に排出します。空気を冷却する性質上、室内の気温を下げる効果も期待できます。

天井カセットエアコン

エアコンの送風機能の電気代の目安

送風機能の電気代は、以下の式で計算できます。

「1時間あたりの電気代 = 消費電力(W) ÷ 1,000 × 電気料金単価(円/kWh)」

たとえば、シャープの「AY-S80X2」の場合、プラズマクラスター送風運転の消費電力は16.9Whです。電気料金単価を、公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会が目安として定めている「31円/kWh」として計算した場合、1時間あたりの電気代はおよそ0.6円となります。
1日中つけっぱなしにしても、夜間の電力単価を考慮すると1日あたり約12円前後で収まる計算です。

参考:SHARP公式「プラズマクラスターエアコン総合カタログ

参考:エアコンの電気代、賢く節約するには?|交換できるくん

寝る時だけ使用した場合

寝るときだけ送風運転を使った場合の電気代も、把握しておくと安心です。
先ほどと同じ条件で、夜間から朝にかけての8時間、エアコンの送風運転を使用した場合の電気料金は、1日あたり2〜3円ほどとなります。
夜間料金が少し安くなることも踏まえると、ほとんど気にせず使えるレベルのコストといえます。

送風運転と冷暖房・その他の空調機能との費用差

送風運転を使用した場合の電気代と冷暖房、サーキュレーターや扇風機などを使用した場合の電気代を比較してみました。

送風(シャープ「AY-S80X2」の場合)冷房(シャープ「AY-S80X2」の場合)暖房(シャープ「AY-S80X2」の場合)サーキュレーター(アイリスオーヤマ「PCF-BD15TEC-W」の場合)扇風機(アイリスオーヤマ「LFD-306L-W」)
消費電力16.9Wh2,900W2,650W17W16W
電気代目安(1時間あたり)0.6円87円79.5円0.5円0.5円

上記の比較からも、送風はサーキュレーターや扇風機とほとんど変わらない電気代であることがわかります。

参考:
SHARP公式「プラズマクラスターエアコン総合カタログ
アイリスオーヤマ公式「サーキュレーターアイ」「リモコン式リビング扇

エアコンの送風機能はサーキュレーターの代わりになる?

エアコンの送風機能は、部屋の空気を循環させる働きがあるため、サーキュレーターの代わりに使える場合もあります。ただし、すべてのケースで完全に同じ効果が得られるわけではありません。ここでは、「代わりになる場合」と「ならない場合」を整理してみました。

代わりになる場合代わりにならない場合
・室内の空気をやさしく循環させたいとき
・冷暖房の後、室温のムラをなくしたいとき
・天井付近にたまった暖気を拡散したいとき
・強力な空気の流れを作りたいとき
・部屋全体を短時間で換気したいとき
・特定の方向に集中的に風を送りたいとき

エアコンの送風は、あくまで「やさしく空気を混ぜる」イメージです。

一方サーキュレーターは、直線的で強い風を作るため、空気を遠くまで運んだり、換気したりするにはサーキュレーターの方が向いています。目的に応じて使い分けると効果的です。

エアコンの送風機能の使い方(設定方法)

エアコンの送風機能は、基本的にはリモコンの「送風」と書かれたボタンを押せば機能します。

「送風ボタン」がリモコンにない機種の場合は「モード切替ボタン」や「運転切り替えボタン」を探してみてください。これらのボタンを押すと、「冷房」「暖房」「除湿」に加えて「送風」や「FAN」といった表示が出てくることもあります。

エアコンの送風機能がない場合

リモコンにもモード選択にも「送風」が見当たらない場合は、冷房モードに切り替えたうえで、設定温度を最高温度(たとえば32℃など)にしてみてください。

温度を室温に近づけることで、冷たくも暖かくもない空気が出され、実質的に送風運転に近い状態になります。

ただしこの方法を用いる場合、室温が設定温度以上になると、冷房運転が始まってしまいます。たとえば午前中に送風代わりにエアコンの温度を高くして稼働させていても、気温が上がる午後には冷たい空気が排出される可能性があるため、使いどころには注意が必要です。

エアコンの送風機能はどんな時に使う?

エアコンの送風機能は、冷暖房とは違った形で室内環境を快適に整えるのに役立ちます。ここでは、送風機能が活躍する主なシーンを紹介します。

冷暖房後のカビ対策

冷房や暖房を使った後、エアコン内部に湿気がこもったままだと、カビの原因になります。

送風運転を使えば、内部を乾燥させることができるため、カビ予防に効果的です。エアコンを使い終わったあとに1〜2時間ほどは送風運転を行ってみてください。

室内の空気を循環させ温度ムラをなくしたい時

エアコンを使っていても、部屋の場所によって暑かったり寒かったりすることがあります。

こうした温度ムラを解消したいときにも、送風運転は有効です。室内の空気をやさしくかき混ぜることで、部屋全体の温度が均一に近づき、より快適に過ごせるようになります。

室温が快適なとき

室温がちょうどいいときに送風運転を使うのも、良い方法です。空気を軽く循環させることで、室温が急激に上下するのをやわらげることができ、快適な室温を長く保てます。

給湯器

季節別!送風機能のおすすめ活用法

送風機能は、季節によってさまざまな使い方ができます。冷暖房に頼りすぎず、快適に過ごすためにも、送風運転をうまく取り入れてみてください。

ここでは、春・夏・秋・冬それぞれのおすすめ活用法を紹介します。

春・秋

春や秋は、外の気温がちょうどよく、冷暖房を使わなくても快適に過ごせる日がほとんどです。そんなときは、エアコンの送風運転で室内の空気を循環させると、さらに快適さがアップします。

特に湿気が気になる日には、窓を開けながら送風を使うことで、蒸れ感を和らげる効果もあります。

夏は就寝時に送風機能を活用するのが効果的です。寝る前に部屋をしっかり冷房で冷やしたあと、眠るタイミングで送風に切り替えると、室温をほどよく保ちつつ電力消費を抑えることができます。

冬は暖房を使ったあと送風機能に切り替えることで、天井付近にたまった温かい空気を、部屋全体に循環させることができます。
暖房の効率をアップさせるのに、おすすめの活用方法です。

送風運転の効果を高める工夫

ちょっとした工夫を取り入れることで、より効率的に送風運転を活用できます。

たとえば上下方向にも稼働するサーキュレーターと併用することで、より効率的に室内の温度ムラをなくすことができます。

また、エアコンのフィルター掃除をこまめに行うことも大切です。フィルターが詰まっていると風量が落ちてしまい、送風による空気の循環も、うまくできなくなくなります。

さらに、風向きを調整したり、カーテンや家具などの障害物が空気の流れを妨げないようにレイアウトを工夫することもポイントです。

これらの方法を取り入れることで、送風運転の効果がアップすることが期待できます。

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エアコンの送風機能を使う際の注意点

送風機能はとても便利ですが、使うときにはいくつか注意しておきたいポイントもあります。

トラブルを防ぐためにも、事前にその内容を確認しておくと安心です。

室温のコントロールはできない

送風運転は、空気を動かすだけの機能です。冷房や暖房のように室温を下げたり上げたりすることはできません。

暑い・寒いと感じるときは、無理に送風だけで過ごさず、冷房や暖房に切り替えることも大切です。

人体に直接風があたらないようにする

送風とはいえ、長時間風が体に直接当たり続けると、体がだるく感じたり、冷えてしまうこともあります。リモコンの風向き調整機能を使って、風を直接体に当てないように工夫してみてください。

洗濯物を乾かす場合は除湿運転のほうが良い

部屋干しの洗濯物に使用する場合は、送風運転ではなく除湿運転を活用したほうが無難です。

送風運転だけでは湿気がこもってしまうこともあり、洗濯物に生乾きのイヤなニオイがついてしまう可能性があります。除湿運転なら気中の水分を取り除きながら乾燥させるため、洗濯物も効率よく乾かせます。

まとめ|エアコンの送風機能はシーンごとに使い分けよう

エアコンの送風機能は、うまく使えば冷暖房を使わずに室内の快適さを保つことができ、電気代の節約にもつながります。ただし室温調整はできないため、暑い・寒いと感じたときには冷暖房への切り替えも大切です。

季節やシーンに合わせて、送風運転を上手に使い分け、エアコンをもっと賢く、快適に活用してみてください。

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